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土方が悩みに明け暮れている間、山南は長時間縁側に座って考えを巡らせていた。
もうすっかり日は沈みかけて空は赤く染まっている。
さっきのあれは言い過ぎたかもしれない…。土方くんカンカンに怒ってるだろうな…。やだなぁ。
先程の発言は全てが本心な訳ではない。
しかし山南という男。温厚そうにみえて以外に頑固な面があるのだ。
バタバタバタバタ!
「「山南さん!」」
「沖田くんに美海くん!」
山南がその声に反応して振り向くと隊服姿の美海と沖田がいた。巡回帰りだろう。
「どうしたんだい?そんな息を荒くして」
「どうしたって山南さん!大丈夫ですか!?」
「土方さんがひどいこと言ったって!」
「あぁ」
山南は苦笑いした。
「あれは私が悪いから仕方ないんだ」
そう笑う山南の隣に美海と沖田が座った。
「あまり気にしないほうがいいですよ?」
沖田がそう言う。
「そうですよ!あの人は口が悪いだけですから」
美海も同意した。
「ははは。君らにはよく元気づけられるよ。ありがとう。沖田くんは二回目だね」
「そうですね」
「あ!私何かお菓子持ってきます!」
美海は立ち上がって台所へ向かった。
「前に沖田くんが見方を変えて見れば良いって言ってくれただろ?」
「はい」
「私なりに頑張ったんだけどね。どうやら駄目そうだ。沖田くんみたいに思えない」
山南は足元の砂利を蹴った。
「さっきね。私を副長に戻してくれと頼みに行ったんだ」
沖田は目を見開いている。【植髮效果】想植髮後毛囊更穩定?術後保養大全! -
「そしたらね。副長は一人でいい。剣を握らないやつに務まるかって言われたんだ。だから思わずひどいことを言ってしまった…」
「副長は一人でいい。かぁ…」
沖田は手に息を吹きかけた。息が真っ白だ。寒い。
お互いが沈黙になる。
もはや沖田もなんとも言いようがない。山南が苦しい立場なのも十分に分かっている。だが、土方の言うことも一理ある。
「元に戻れないのかなぁ…?」
沖田が呟いた。
山南は不思議そうな顔で見ている。
「土方さんが地図書いて策略立てて山南さんが調整する。あれでよかったのになぁ」
沖田は遠回しに伊東の参謀というポストがいらないと言いたいのだ。
「あの頃はよかったな。素直に笑ってられた。今は別に楽しいわけでもないのに笑っている。皆変わったからね」
あの頃はよかった。と言っても今は今だ。過去に戻れるわけでもなく、ずっとそのままで止まっていられるわけでもない。
時は前に進む一方だ。
その頃の美海は…。
カッチャカッチャカッチャカッチャ。
お盆の中の皿をぶつけながら道を歩いている。
「はー…。重い」
ふと土方の部屋の前を通った。
「………」
ススススス。
前に進んでいた足を止め、そのまま後ろに戻る。
ガラッ
「土方さん!あんま山南さんにひどいこと言わないでくださいよ!!」
「あ゛?」
振り返った土方はいつに増して不機嫌そうだ。
いつもは勝手に入ると怒るのだが今日は怒らない。
ビクッ!
そんな土方に美海は一瞬怯む。
「だだだだだから…山南さんに…」
「わかってる!わかってるんだ…」
土方はなんだか悲しそうな顔をした。
「わかってるんだよ…」
「土方さん?」
「わかってるんだ。俺が山南さんを苦しめてることも。
わかってるんだ。隊を強くしたいのも俺の自己満足だって。
山南さんの言ってることも正論だって」
土方はそう言うと伏く。
「全部わかってるんだよ…。
でもどうしたらいいんだよ…。
なんでこうなったんだよ…」
土方さんがこんなんになるなんて。珍しい。
美海がおもむろに口を開いた。
「土方さんはしばらくここで悩んでてください」
「へ…?」
「なんでこうなったとかどうしたらいいとか。そんなのわかりませんよ。自分しかわからないでしょ?だから一人でゆっくり悩んでください。私はお菓子持っていかなきゃ駄目なんで」
ガラッ
「なんだよ…。あいつは女中かよ…」
土方は苦笑いだ。
カッチャカッチャカッチャカッチャ…
「お待たせしました~!」
美海がそう言ったが沖田と山南はなんだか元気がない。
どうしたんだろ?
「どうぞ」
カチャン…